皆様こんにちは、ネットワーク事業部の生方です。
多くの方がGoogleやMicrosoftなどのオンラインサービスに登録して、メールやクラウドストレージなどをご利用だと思いますが、自分の持っているアカウントをきちんと管理できていますか?
無料でいくらでも作れてしまうため、とりあえず作ったけどそれきり使っていないような『放置アカウント』も中にはあるのではないでしょうか。
別に無料だから使わなくてもいいのではと思うかもしれませんが、放置アカウントが実は大きな問題となっており、サービスを提供する企業も対応を進めています。今回はGoogleアカウントの対応を例に、放置アカウントの要件や問題点、削除されないための対策について取り上げたいと思います。
Googleアカウント削除の要件
2023年5月にGoogleのアカウントポリシーが改定され、2年間使用またはログインされていないアカウントについては12月から順次削除されることとなりました。
無効な Google アカウントに関するポリシー
Googleが放置アカウントの削除を進める詳細な目的については後述しますが、大きな理由はセキュリティリスクによるものです。
放置アカウントの多くが脆弱なパスワードや適切なセキュリティ設定を行っていないなどの危険性をはらんでおり、悪意を持った第三者に乗っ取られる可能性が高いとされています。
乗っ取られてしまったアカウントはスパムメールの送信元として悪用されるなどの影響を及ぼす恐れがあり、Googleも放置アカウントの対策に乗り出したという状況です。
何もしないでアカウントを放置していると削除されてしまいますが、最低でも2年の間に1回以上、次のような操作(アクティビティ)を行えばアカウント削除を回避できます。
- メールを読む、送信する
- Google ドライブを使用する
- YouTube 動画を見る
- 写真を共有する
- アプリをダウンロードする
- Google 検索を使用する
- 「Google でログイン」機能でサードパーティ製のアプリやサービスにログインする
注意点として、スマートフォンやパソコンのブラウザに複数のアカウントを登録している場合は、アカウントを切り替えてそれぞれで操作を行う必要があります。
また、アカウントが削除される場合には同時に各サービスのデータも削除されるため、GmailやGoogleドライブなどに保存されたデータも削除されてしまいます。
放置されたアカウントは2年で即刻削除されるわけではなく、事前に対象のGmailにメールで通知されます。また、再設定用のメールアドレスが登録されている場合にはそちらへも通知されます。多少の猶予期間があると見られますが、もし通知を受け取った場合には速やかにログインして対応しましょう。
なぜ放置アカウントを削除するのか
このような放置アカウントの削除が進められている背景として、以下のような理由が挙げられます。
アカウントの乗っ取りに気づきにくい
日常的に使用しているアカウントであれば、悪用された場合の異常に気づく可能性も高く、パスワードを変更するといった対策を取ることができます。
しかし、放置アカウントが悪用され不特定多数のユーザに大量にスパムメールを送ったとしても、アカウントの本来の所有者が異常に気づく可能性は低く、悪用する第三者にアカウントを完全に乗っ取られてしまいます。
セキュリティ設定の脆弱性
特定のサービスでログインするためだけなど、一時的に使うだけだからという軽い考えで作ったアカウントだと、パスワードやセキュリティ設定が適当になってしまう場合があります。
パスワードが「password」や数字だけのような簡単なものだったり、二要素認証を設定していないなどセキュリティレベルの低いアカウントが放置されてしまうと、悪用する第三者にとっては格好の標的になってしまいます。
サービスクオリティの維持
アカウントが悪用されて、大量のスパムメールが送信されたりデータの不正利用などが起きると、Googleの提供するサービス全体へ負荷が発生するなど影響を及ぼす恐れがあります。
また、利用されているかどうかに関わらず、登録されているアカウントに対してはストレージなどのリソースも確保しておく必要があります。放置されているアカウントを削除することで、余分なリソースを解放することができます。
サービスを提供する側としては、全体のクオリティ維持のためにも放置アカウントはできる限り減らしていきたいというのが実情です。
実際、このような放置アカウントの影響は見過ごせなくなっており、Google以外のオンラインサービスでも同様の対処を取っています。
Google同様に無料で発行できるMicrosoftアカウントでも、2年に1回以上サインインされていないアカウントは放置とみなされ、アカウントが停止・削除される旨が利用規約に記載されています。
Microsoft サービス規約
アカウント削除を防ぐためには
まずは、対象のアカウントでログインした状態で前述のいずれかのアクティビティを行いましょう。
パソコンのGoogle Chromeであれば複数のアカウントを切り替えるのも簡単なため、それぞれでログインして検索するなどが手っ取り早い対応かもしれません。
ただし、Google Chromeで検索する場合には注意が必要で、
- アドレスバーで検索した場合 … Chromeのプロファイルでログイン中のアカウントのアクティビティになる
- ページ内の検索ボックスから検索した場合 … ブラウザ内でログイン中のアカウントのアクティビティになる
という違いがありますので、複数のアカウントを切り替える際にはどちらで操作するかご注意ください。
また、再設定用の電話番号・メールアドレスが正しく設定されているかも確認しましょう。
放置してしまった場合に通知を受け取るためでもありますが、登録してから長期間経過しているアカウントだとその間に電話番号が変わっていたりする可能性もありますので、この機会に確認しておくのをおすすめします。
あるいは、もし今後も使用する可能性が低いと考えられるアカウントであれば、アカウント自体を削除するのも一つの方法です。
重要なサービスやアプリと紐づいていないかはしっかり確認する必要がありますが、不用意に被害を広げないためにも、完全に不要だと判断できれば思い切って削除してしまいましょう。
Googleアカウントの削除の方法はこちらを参照してください。
Google アカウントの削除
おわりに
Googleアカウントの削除が今月から開始されるとのことで取り上げさせていただきましたが、前述のとおり何かしらの通知があった後に削除されるようですので、思い当たるアカウントがある方はひとまずログインしてみてください。
重要なサービスと紐づけていたアカウントだったのに、いつの間にか削除されてしまい利用できなくなってしまった…では大変です。
これから年末に差し掛かり大掃除のシーズンに突入しますが、この機会にぜひご自分のアカウントも整理整頓を行ってみてはいかがでしょうか。